AIにできないこととは?得意分野・苦手分野とビジネスでの活用事例!

近年AI(人工知能)を活用した企業向けのツールやシステムが登場しています。業務改善のために導入を検討している方も多いのではないでしょうか。 導入の際は、AIにできること・できないことを理解することが大切です。特に臨機応変な判断が必要な業務は苦手分野のため、AIの導入で自社の組織課題が本当に解決できるのかを見極めましょう。 本記事ではAIにできることやできないこと、ビジネスでの活用事例について詳しく解説します。


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AIにできないこと・苦手なこと

AIは膨大なデータを学習して、認識・予測・判断・提案などを行います。

一方で人間のように臨機応変に判断したり思考したりはできません。まずはAIにできないことや苦手なことについてご紹介します。

1.人の感情や気持ちを読み取ること

AIは言語理解ができないため、人の感情や心境などを読み取ることができません。

コミュニケーションのなかで意図を汲み取るには背景や文脈の理解が必要ですが、AIにそのすべてを理解させるのは困難です。

そのため現状は、共感力が求められるコールセンターの業務やカウンセリングなどの対応は難しいとされています。

2.新しく何かを生み出すこと

AIは学習した情報をもとに法則性を習得して最適な判断と実行をします。

たとえば文章や画像を自動生成する生成AIは、既存の情報やパターンに基づいたコンテンツを生み出します。

裏を返すと、純粋なオリジナルのコンテンツを生み出すことはできません。

創造的なアイデアや独自性が求められる業務に活用するには、人間の感性や創造性を組み合わせる必要があるでしょう。

3.イレギュラーな対応をすること

AIはイレギュラーな状況や未知の課題に対応することは苦手です。

人間であれば過去の経験や背景を考慮した対応が可能ですが、AIは過去からの学習データを含めたすべての情報を網羅しない限り困難です。

そのため、

・顧客の性格に応じたコミュニケーション
・社員の心理的負担を考慮した業務配分

などの柔軟な対応はできません。

状況に応じた判断が必要な作業には、AIはあくまでも補助的な役割にとどまります。

4.ノイズが多いデータの読み取りや処理

AIはノイズの多い(役に立たないものが多く含まれる)情報は正確に処理できません。

教師データ(※)にエラーや欠損値が含まれる場合は、AIが行う判断の精度が落ちてしまいます。

機械学習を行う際は、事前にデータを処理してノイズを取り除く必要があります。

※教師データ…AIが機械学習に利用するデータのうち、例題と正解がペアになっているもの

5.汎用性を備えること

現在(※)実用化している自動運転やヒト型ロボットなどはすべて特化型AIと呼ばれます。

特定の分野における問題解決やタスクの自動化が得意なのが特徴です。

一方で多くのタスクを完全に任せることは不可能です。

あらゆる範囲に活用できる汎用型AIの実用化も期待されていますが、未だ実現はしていません。

※2024年1月時点

AIにできること・得意なこと

企業課題を解決するには、AIの得意分野に応じた活用方法を考えることが重要です。

次にAIにできることについて詳しく見ていきましょう。

1.画像・音声・文字の認識

AIは複数のデータの共通点を見つけて判断することが得意です。

この特徴から、特に下記の技術に優れています。

・画像認識
・音声認識
・光学文字認識

画像認識

画像に写る対象物(人やモノ)を識別する技術で、ディープラーニングの登場により大幅に精度が向上しました。

現在、ディープラーニングを活用した画像認識の正解率は95%といわれています。

ビジネスにおいては以下のように活用されています。

顔認証システム(空港):IC旅券の顔画像と顔認証ゲートのカメラで撮影した顔画像を照合する
不良品検知ソリューション(製造現場):センサーが取り込んだデータをもとに異常を検知する
画像診断(医療現場):X線CT画像から病気の有無を診断する

音声認識

人間が話す言葉を読み取りテキスト化する技術のことです。

ディープラーニングの活用によって単語予測が可能になり、大幅に精度が高まりました。

近年は感情を分析できる音声感情認識AIも登場しています。

ビジネスにおいては以下のように活用されています。

議事録作成:会議中の音声を認識して自動で議事録を作成する
ボイスボット(対話型AI):音声として認識した内容に対して適切に応答する
AI翻訳:会話中の音声を認識して自動で翻訳する

光学文字認識

AIを活用した光学文字認識のことをAI OCRと呼びます。

一般的なOCRは画像データから活字や手書きの文字を読み取り、テキストに変換する技術を指します。

OCRの欠点は識字率が低く、非定型フォーマットの読み取りに手間がかかることです。

乱れた文字や罫線に被った文字などは認識が難しく、企業独自の文書については事前に読み取り位置・項目といった詳細を設定する必要があります。

そこでAIを活用したAI OCRが登場しました。

ディープラーニングの技術によって文字の認識精度が向上し、多様な文書の読み取りが可能となっています。

ビジネスにおいては以下のようなシーンで活用されています。

FAX注文処理業務(流通業):帳票を自動で仕分けしてデータ化する
保守登録業務(製造業):手書き申込書を自動で仕分けしてデータ化する

2.単純なタスクの繰り返し

AIはルール化された単純な作業が得意です。

人間の判断による業務で発生しがちな、

・バイアスを排除したい
・ヒューマンエラーを防ぎたい

などの場合はAIの活用をおすすめします。

特に反復的で予測可能な業務において優れたパフォーマンスを発揮します。

AIが得意とする業務例は以下の通りです。

・データ入力
・資料整理
・機械操作

単純作業を長時間続けても人間のように疲れることがないため、一貫して高い精度で作業を繰り返すことが可能です。

人的リソースをより戦略的かつ価値ある業務に投入できるようになります。大幅な生産性の向上が期待できるでしょう。

業務効率化のためにAIツールを導入したいお考えの企業様は、法人向け総合AIプラットフォーム「エアスマAI(エアトリスマートAI)」をご検討ください。

文字起こしや要約、資料作成などが可能です。UI/UXにこだわっており、AIに関するリテラシーが低いユーザーでも操作しやすいのが特徴です。

3.膨大な量のデータの処理と分析

AIは膨大な量のデータをスピーディーかつ正確に処理します。

たとえばサイトの訪問者を行動パターンによってセグメント分けして、WEB接客を最適化するなどの活用方法があります。

またプログラムを組んで分析モデルを作れば、大量のデータを高い精度で分析することも可能です。

この仕組みをAI分析と言います。

AI分析はビジネスにおいて以下のように活用されています。

需要予測:POSレジに記録された購買情報や会員サイトに登録された顧客情報をもとに商品の需要予測を行う
水道管の劣化予測:水道管が設置されてからの年数や周辺環境をもとに劣化速度を予測する
チャーン予測:顧客データや解約履歴をもとに今後発生する解約数を予測する

データに基づいた意思決定ができるようになり、迅速な施策の実行も可能となります。

AIの特性を踏まえた導入方法

企業にAIを活用したツール・システムを導入する際は、

AIで解決すべき業務範囲

を明確にする必要があります。

組織課題のすべてをAIで解決することはできません。

効率化したい・精度を高めたい作業などを整理して、得意分野に応じた導入範囲を決定することが重要です。

またAIは大幅な業務効率化に貢献しますが、最終的な目標は組織課題を解決してビジネス価値を生み出すことです。

期待できる効果を試算したうえで今後の活用方針を探っていきましょう。

まとめ

今回ご紹介した、AIにできないこと・できることは下記の通りです。

▼AIにできない・苦手なこと
・感情や気持ちを読み取ること
・新しいアイデアの生成
・イレギュラーな状況への柔軟な対応
・ノイズの多いデータ処理

▼AIにできる・得意なこと
・画像・音声・文字の認識
・単純なタスクの繰り返し
・膨大なデータの処理、分析

人員不足やヒューマンエラーなどの課題を抱えている企業にとっては十分な効果を期待できるでしょう。

企業に導入する際は、解決したい課題や範囲を決定したうえで活用方針を決定することが重要です。

※この記事は、2024年1月時点での情報です。