生産性向上を図るための取り組み6選
ここでは、生産性向上を図る方法の中から代表的な施策を6つ紹介します。
業務マニュアルを作成する
業務の流れや手順を文書化し、標準化することで、全従業員が同じ手順で業務を進めることが可能です。これにより、成果物の品質にばらつきが生じにくくなり、結果として業務効率が向上します。
例えば、従業員の休職や退職が発生した場合、引き継ぎが適切に行われないと、残されたメンバーが混乱し、生産性が低下してしまいます。
しかし、業務マニュアルがしっかりと整備されていれば、新たな担当者がすぐに業務を理解し、スムーズに仕事を引き継ぐことが可能です。また、業務マニュアルには業務の属人化を防ぐ効果もあり、誰が担当しても一定のクオリティを維持できるようになります。
業務の見直しを実施する
定期的に業務フローを見直すことで、無駄な作業や非効率な手順を削減できます。これにより、リソースの分配を最適化でき、生産性を大幅に向上させられるでしょう。
業務を見直す際には、従業員の意見を積極的に取り入れることが大事です。現場で実際に業務を担当している従業員は、業務プロセスの中で非効率的な部分や改善すべき点をよく理解しています。役職者の目線では気づかない無駄な作業が見つかることもあるでしょう。従業員からのフィードバックを受けて業務フローを改善すれば、生産性をより高められます。
ITツールを導入する
ITツールを導入すれば、単純作業を自動化し、従業員が本質的な業務に集中できる環境を整えられます。例えば、データの整理や集計作業、メールの文章作成は、多くの企業で時間と労力を要する業務のひとつです。
このような業務をITツールに任せることで、従業員は分析や戦略立案など、より付加価値の高い業務に時間を使えるようになります。
生産性向上に向けたITツールとして、生成系AIの「エアスマAI(エアトリスマートAI)」がおすすめです。エアスマAIは、生成系AIに関するリテラシーが低くても、問題なく使用できるITツールです。社内資料やプレゼン資料の図解・文章の作成などを自動化し、生産性をアップさせましょう。無料プランもあるので、まずはお気軽に試してみてください。
人材配置を見直す
適材適所の人材配置は、生産性向上に大きく関わる要素のひとつです。従業員を各々のスキルや能力を最大限に発揮できるポジションに配置することで、業務効率が上がり、パフォーマンスも向上します。
また、従業員が自分の強みを発揮できる業務に従事できるようになると、モチベーションが向上し、結果として離職率の低下にもつながるでしょう。
従業員の適材適所を見極めるためには、定期的にキャリア面談を実施し、従業員の希望や意見を反映することが大切です。
従業員のスキルアップを図る
企業の生産性を上げるには、従業員が最新の技術や知識を習得することが重要です。特に、変化が目まぐるしい業界や市場においては、常に新しい情報や技術に対応できる人材を育成することが、企業の競争力アップに直結します。
従業員のパフォーマンスを向上させるために、定期的な研修や教育プログラムを用意すると良いでしょう。また、「資格取得の費用を負担する」「資格手当を設ける」といった、スキルアップの意欲を高める仕組みを整えることも大切です。
多様な働き方を取り入れる
生産性を向上させるためには、従業員の働きやすさにも目を向ける必要があります。例えば、フレックスタイム制度やリモートワークの導入によって、従業員が自分にとって最も効率的な働き方を選べるようになれば、モチベーションと集中力が向上するでしょう。ワークライフバランスの実現によって、従業員満足度の向上も期待できます。
また、リモートワークを導入することで従業員の通勤が不要になるため、交通費に関する企業側の負担を軽減できます。さらに、出社人数を減らしてオフィスを縮小できれば、家賃コストも削減できるでしょう。
生産性向上の取り組み事例4選
ここでは、実際に生産性向上に成功した企業の取り組み事例を4つ紹介します。
出典:厚生労働省「働き方改革特設サイト 中小企業の取り組み事例」
東知社|オリジナルの業務フロー、マニュアルを作成
株式会社東知(岐阜県各務原市)は1972年に創業し、主に自動車用のゴム製品を製造・販売しています。同社は、品質不良を減らしたいという思いから、品質の国際規格ISO9001の取得に挑戦しました。ISO9001の取得後も、OHSAS18001(労働安全衛生)、ISO14001(環境)といった国際規格の認証を次々と取得しました。
その過程で、自社の業務をISO規格へ徹底的に落とし込み、規格に沿ったオリジナルの業務フローやマニュアルが作られました。これによって業務の標準化、情報のオープン化・データベース化が進み、社員が働きやすい環境がつくられていきました。品質・生産性の向上にともない、社内の雰囲気が変わり、定着率の改善もみられたのです。
機械メンテナンスに関わるシステム作りにも着手し、さらなる生産性の向上を目指しています。
荒木組社|DX推進
株式会社荒木組(岡山県岡山市)は、2021年に創業100周年を迎えた建設会社です。同社は、建設業界の3K(きつい・汚い・危険)というイメージを払拭し、「世界一働きやすい会社」を目指して3カ年計画「大心(たいしん)」を実施しました。
労働時間の面では、PCを活用して情報共有の環境を整えることで時間外労働の削減に成功しました。具体的には、年間の平均時間外労働が約263時間(2016年度時点)から約220時間(2018年度時点)に減少しました。
ITの活用による施策では、Web会議、ヘルメットに装着する小型カメラ「ワーキングレコーダー」の開発・導入や、ドローンによる測量や工事の進捗状況確認によって、作業速度と生産性を大幅に向上させました。
そのほか、コミュニケーションの活性化にも取り組み、働きやすい職場づくりを多方面から推進しています。
ライフセキュリティー社|多様な人材の確保
株式会社ライフセキュリティー(大阪府堺市)は、地域の安全を守る警備会社です。同社は、働き方改革に取り組み、多様な人材の受け入れに力を入れています。
具体的には、高齢者や女性を中心に多様な勤務形態を提供し、23名の新規採用を達成しました。「週1日〜」「午前のみ勤務」といったフレキシブルな働き方を取り入れたことで、所定外労働時間の削減に成功しています。
人材確保の成功により、交替要員制度を整備でき、所定外労働時間は従来の50時間から27時間に減少しました。さらに、人員が増えたことで、結果として受注も増やせるようになり、売上額は前年の同じ月に比べて35%増加しました。
井口一世社|人事評価システムと給与体系の見直し
金属加工会社の株式会社井口一世(埼玉県所沢市)は、板金加工技術を用いてコストダウンを実現し、業界に新しい風を吹き込んできました。社員の6割、管理職の半数以上が女性であり、2018年度には「東京都女性活躍推進大賞」を受賞するなど、女性が活躍できる企業として注目を集めています。
同社はワークライフバランスの実現を目指し、残業削減のための施策を実行し、社員のマルチワーカー化を進めました。これによって仕事の属人化を防げたとともに、フォロー体制を充実させることができ、気兼ねなく有給休暇を取得できる環境が整備されました。コロナ禍にあっても、限られた人数で生産性・品質ともに低下させることなく業務を遂行できました。
そのほか、スキルアップによって毎月昇給可能なシステムを採用し、モチベーションを引き出しながら人材を育成できています。
生産性向上に取り組む際のポイント
生産性向上を成功させるのは容易ではありません。施策を実行する前に、2つのポイントを押さえておきましょう。
従業員の意見を取り入れる
生産性向上の取り組みを成功させるためには、従業員の意見を尊重することが大切です。急な方針変更や新しいツールの導入は、従業員が混乱するおそれがあります。
また、従業員が「なぜ事前に相談がなかったのか」と疑問を抱くことで、会社への信頼が揺らぐ可能性もあります。新しい施策を実行する際は、事前に従業員に説明し、意見を取り入れて協力体制を築きましょう。
長期的な視点をもつ
生産性向上は一朝一夕には達成できないため、長期的な視点を持つことが大切です。例えば、適切な人材配置による効果が現れるまでにある程度の期間を要することがあります。従業員が新たな環境に慣れ、業務効率が上がるまでには時間がかかるのが一般的です。
即時的な効果を期待するのではなく、時間をかけて少しずつ生産性が向上することを理解しておきましょう。
まとめ
生産性向上の取り組みとして、業務マニュアルの作成や業務の見直し、ITツールの導入などがあげられます。まずは自社が抱えている課題を把握し、予算や目的に応じて施策を検討することが大事です。また、施策を実施してもすぐに成果は出ないため、長期的な視点をもって取り組んでみてください。
※この記事は、2024年9月時点の情報に基づいています。