ペーパーレス化の具体的な7つのメリット
ペーパーレス化を進めることは、業務効率の向上やコスト削減、さらには企業のイメージ向上など、多くのメリットをもたらします。
下記では、ペーパーレス化の具体的な利点を7つの観点から詳しく解説します。
メリット1|印刷代や用紙代を削減できる
紙に文書を印刷する場合、用紙代やトナー代といったコストが必ず発生します。1枚の印刷にかかる費用が約5円だとすると、従業員50人が1日10枚ずつ印刷すれば、年間で約90万円ものコストがかかります。ペーパーレス化を導入することで、この費用を大幅に削減することが可能です。
さらに、印刷作業自体にも時間と手間がかかります。例えば、会議用の資料を準備する際、印刷した後にホチキスでとじたり、配布したりする作業が必要です。
しかし、電子データを利用すれば、クラウドや社内システムを通じて数クリックで共有が完了します。印刷に伴う手間を省き、コスト削減だけでなく業務効率の向上も実現できます。
メリット2|資料探しが容易になる
紙の書類が多いほど、目的の資料を探すのに時間がかかります。ペーパーレス化を実施することで、電子データとして保存された資料を効率的に検索できるようになり、資料探しの手間を大幅に減らすことができます。
特に、紙で保存している過去の契約書や取引先データを探すのは時間がかかりますが、電子データであれば数秒で検索が可能です。
メリット3|時間や場所を問わずアクセス可能になる
紙媒体では、書類が手元になければ利用できません。一方、ペーパーレス化による電子媒体なら、インターネットを介していつでもどこでもアクセスが可能です。そのため、リモートワークや外出先での業務遂行が容易になります。
例えば、外出中の営業担当者がモバイル端末を使用してプレゼン資料にアクセスし、その場でクライアントに共有することができるのです。
メリット4|保管スペースを削減できる
紙の書類は保管場所を必要とし、大量の書類を保管するには相応のスペースが求められます。例えば、年間数百冊分の書類を保管する企業では、1部屋分のスペースを専用の保管エリアとして確保しなければならないケースもあります。
ペーパーレス化を進めることで、書類を電子データ化し、クラウドストレージなどに保管することが可能です。保管スペースが不要になり、賃料の削減にもつながります。
メリット5|情報漏洩・紛失・盗難のリスクを軽減できる
紙媒体では、物理的なセキュリティ対策が必要ですが、それでも情報漏洩や紛失、盗難のリスクを完全に防ぐことは困難です。ペーパーレス化によってアクセス権限の設定やログ管理が可能になるため、セキュリティ性が向上します。
例えば、紙の顧客リストが盗難された場合、その被害範囲を特定するのは困難ですが、電子データでは誰がアクセスしたかを追跡できるため、迅速な対策が可能です。
メリット6|多様な働き方に対応できる
印鑑手続きや書類作成などの業務がテレワークでは困難な場合があります。ペーパーレス化を進めることで、これらの業務をオンライン上で完結できるようになり、柔軟な働き方への対応が進みます。
例えば、電子契約システムを導入することで、在宅勤務中の従業員でも契約締結を迅速に行えます。
メリット7|企業イメージの向上につながる
ペーパーレス化は、紙の使用量削減による地球環境保護に貢献する取り組みでもあります。SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みをアピールでき、環境に配慮した企業としてのイメージ向上を図ることが可能です。
ペーパーレス化で削減が見込まれる金額は?
ペーパーレス化を進めることで、さまざまなコスト削減が期待できます。
1枚あたりの印刷代を3〜4円、1人あたりの印刷枚数を10枚、1か月20営業日、1年245営業日とした場合、削減できる印刷代は下記の通りです。
1日…3,000円〜4,000円
1か月…73,500円〜80,000円
1年…72万円~98万円
また、用紙代については1枚あたり0.6円〜0.7円の削減が可能です。そのほかにも、保管スペースの維持費や廃棄処分費、郵送・発送費といったコストの削減も期待できます。
なお、具体的な成功事例については下記の記事をご覧ください。
「ペーパーレス化の成功事例5選!進める手順とポイントも解説」
ペーパーレス化を進める際の課題・ポイント
ペーパーレス化を進める際には、いくつかの課題が考えられます。下記では、それぞれの課題と解決のためのポイントを紹介します。
課題1|システムやツールの導入コストが発生する
ペーパーレス化を進めるには、導入時に一定のコストが発生します。例えば、コミュニケーションツールやデータ管理ツール、ワークフローシステムなどを導入するための費用や、既存の紙書類をスキャンして電子化するための作業コストが必要です。これらの初期投資がペーパーレス化の障壁となる場合があります。
初期費用を長期的なコスト削減効果と比較することで、投資の妥当性を評価することが重要です。補助金や助成金を活用することで、導入費用を抑えながらペーパーレス化を実現する方法もあります。
課題2|紙文化・ハンコ文化から脱却できない
多くの企業では、「重要な書類は紙で保管すべき」という価値観や、公的書類や契約書に朱肉の押印が必要とされる文化が根強く残っています。例えば、契約締結時に物理的な印鑑を求めるケースが典型的です。
このような文化を克服するには、ペーパーレス化の目的やメリットを経営層が率先して理解し、全社的に推進する必要があります。電子印鑑やデジタル署名の導入を進めることで、従来の紙文化に依存しない業務プロセスを構築できるでしょう。
課題3|従業員のITリテラシーが不足している
従業員のなかには、IT機器の操作スキルやデジタルツールの利用経験が不足している場合があります。例えば、紙媒体での資料作成や保管に慣れている従業員が、電子データ管理への移行に苦手意識を持つケースは珍しくありません。
この課題を解決するには、従業員向けのIT研修を実施し、必要なスキルを段階的に習得させることが有効です。また、操作が簡単で直感的に利用できるツールを導入することで、スムーズな移行をサポートできます。
課題4|電子化の優先順位が定まっていない
どの文書を優先的に電子化すべきかが明確でない場合、ペーパーレス化計画が遅れることがあります。すべての書類を一度に電子化しようとすると作業量が多くなり、効率的ではありません。
まずは紙媒体の使用状況を把握し、重要度や利用頻度に基づいて電子化の優先順位を設定しましょう。頻繁に使用する契約書や顧客データなどから着手し、段階的にペーパーレス化を進めることで、効率的な運用が可能になります。
まとめ
ペーパーレス化は、単なるコスト削減や業務効率化にとどまらず、企業イメージの向上や多様な働き方への対応など、幅広いメリットをもたらす重要な取り組みです。一方で、導入時のコストや従業員のITリテラシー不足などの課題もありますが、これらを1つひとつ解決していくことで、長期的なメリットを最大限に享受できます。
今回紹介したポイントを踏まえ、自社に適したペーパーレス化の方法を検討し、持続可能で効率的なビジネス環境の構築を目指してみてください。
※この記事は、2024年12月時点での情報です。