組織の作業効率を下げる「ムダ」の見つけ方
効率良く作業を進めるためには、現在の業務の中に潜んでいる「ムダ」を把握することが重要です。まずは、業務のムダの定義や見つけ方について紹介します。
そもそも業務の「ムダ」とは何か
業務の「ムダ」とは、組織や現場で価値を生み出さない活動や状態を指します。例えば、顧客に直接利益をもたらさない作業や、本来必要のないプロセスが該当します。ムダは見えにくい場合も多く、適切な視点で業務を見直すことが重要です。
業務の「ムダ」を見つける7つの視点
業務のムダを見つけるには、トヨタ生産方式で提唱された「7つのムダ」を活用することが有効です。これらのムダを1つずつ解説します。
1.加工のムダ
2.在庫のムダ
3.造りすぎのムダ
4.手待ちのムダ
5.動作のムダ
6.運搬のムダ
7.不良・手直しのムダ
社内(部署)の業務を洗い出し、上記のようなムダがないかを改めて考え、必要な対策を講じましょう。
組織の作業効率を上げる3つの方法
ムダな業務を特定するほか、次に紹介するような方法で作業効率を高めることも有効です。既存の業務を見直し、効率化につなげる具体的な方法を紹介します。
関連記事:「AIを活用した働き方改革とは?メリットや成功事例を紹介」
マニュアル/フローチャートの作成・見直し
業務手順が決まっている作業については、積極的にマニュアル化しましょう。手順書を整備することで、新たに担当するメンバーもスムーズに作業に取り組めるようになります。
また、すでに存在するマニュアルの定期的な見直しも重要です。思わぬムダや重複作業が発見できることが多く、効率化のヒントが見つかることもあります。
さらに、業務の全体の流れをフローチャートで明示しておくと、時間配分の適正化にもつながります。作業全体を俯瞰し、最も効率的な進め方を考えることで、チーム全体のパフォーマンス向上が期待できます。
コミュニケーションを最適化
効率化のカギは、個人の努力だけでなく、チーム全体の連携にもあります。日常のコミュニケーションに工夫を取り入れ、情報の伝達方法を見直すことで、効率が大きく向上するケースも多く見られます。
普段から次のようなポイントを意識するよう、従業員へ周知すると良いでしょう。
・情報を定量化し、具体的な数字や例を交えて共有する。
・適切な伝達手段(例えば、チャットツールやプロジェクト管理ツール)を使うことで、情報の行き違いや伝達漏れを防ぐ。
チーム全体の情報共有がスムーズになれば、意思決定も迅速に行えます。
ツールやシステム導入で自動化
作業効率をさらに向上させるためには、ツールやシステムの導入が有効です。タスク管理や情報共有をデジタル化することで、作業の実行漏れや伝達ミスのリスクを軽減することが可能です。
また、ツールやシステムを活用することで、チーム全体が「誰がどの作業をしているのか」を把握できるようになり、無駄な作業が可視化され、迅速な対策が取れるようになります。
近年は、作業の自動化を目的として生成系AIを導入する企業も増えています。例えば、メールや資料の文章作成、会議の文字起こし、広報用の画像・動画作成なども、AIツールを利用することで効率化することが可能です。
生成AIを代表するChatGPTを活用した業務効率化については、下記の記事で詳しく解説しています。
「ChatGPTで業務効率化できること8選!プロンプトや注意点もご紹介」
【業界別】作業効率を改善した企業・組織の事例4選
さまざまな業界において、システムやツール、AIが活用され、作業効率の改善に成功しています。ここでは、4つの事例を紹介します。
【製造】フジワラテクノアート|DXで大幅な作業改善
フジワラテクノアートは、経済産業省の「DXセレクション2023グランプリ」に選ばれた企業で、日本酒やみそなどの醸造食品製造を支援するための製造機械や大型醸造プラントを提供しています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を通じて、生産管理の基幹システムを刷新し、3年間で21のシステムやツールを導入。約120の主要協力会社との取引をオンライン化しました。
このことで、工数削減と紙の使用量9割削減、棚卸し作業時間を2週間から2時間程度に大幅短縮、情報セキュリティの強化とミスの削減を次々と実現しました。
製造業でのAI活用は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
「製造業におけるAIの導入事例10選!導入手順や注意点も解説」
【卸売】カクヤス|勤怠管理システムの入れ替えで課題解決
飲食店向けと家庭向けに酒類を販売するカクヤスでは、既存の勤怠管理システムにおいて「打刻漏れ」や「勤怠エラー」が多発していました。
新たな勤怠管理システムを導入することで、これらの問題を解消し、保守コストの削減と管理の手間も軽減しています。
【建設】三建設備工業|ツール導入で属人化・二重の作業を撲滅
三建設備工業では、10年にわたり運用してきた受注管理システムが属人化し、さらにExcelを用いた手作業での集計も併用するなどのムダが発生していました。
そこで、SFA(営業支援システム)を導入し、建設業界特有の数値の見える化にも成功しました。今後は、経営管理への活用も期待されているようです。
【教育】大阪市立天王寺中学校|生成系AIで校務DX
大阪市立天王寺中学校は、生成AIを用いた校務のDXを進める「生成AIパイロット校」に指定されています。具体的な取り組みとして、学校行事の保護者案内文の作成や英語の小テスト問題の作成、さらにはスイスの姉妹校に送るメッセージカードの作成にもAIを活用しています。
教員からは「プリントの英文作成にかかっていた時間が大幅に短縮された」との声があり、業務負担の軽減に役立っていると評価されています。
教育現場でのAI活用事例については、下記の記事でも詳しく解説しています。
「教育現場におけるAI導入の事例4選!活用のメリット、注意点も解説」
まとめ
この記事では、作業効率を上げるための具体的な方法や事例を紹介しました。日々の業務におけるムダを削減し、効率化を図ることで、全体の生産性を向上させることが可能です。
社内での文書作成や資料作成などの効率化を目指している方は、法人向け生成系AIの総合プラットフォーム「エアトリスマートAI」もご検討ください。マスキング設定で社内情報を守れるため、安心して使えます。シンプルなデザインにこだわり、操作性にも優れているため、誰にとっても始めやすいAIツールです。
※この記事は、2024年11月時点の情報に基づいて作成しています。