そもそも生成AIとは？
生成AIは「Generative AI（ジェネレーティブAI）」とも呼ばれ、入力された指示をもとにテキストや画像、音声など新たなコンテンツを生成するAIのことです。
これまでのAIは「識別系AI」が一般的でした。
識別系AIとは事前にデータを与えて学習させ、入力されたデータの正誤を判別する仕組みを用いたものです。
例えばAIカメラやAI-OCRなどは識別系AIが導入されており、製造現場などで多く活用されています。
一方、生成AIは学習データをもとに0→1でオリジナリティのあるコンテンツを生成する能力を携えています。
文章生成や画像生成といった、より広範囲な分野で活躍できる技術として注目を浴びています。
生成AIの仕組みとは？
生成AIには、「ディープラーニング（深層学習）」という技術が使われています。
ディープラーニングとは、膨大な学習データから一定のパターンを抽出して学習する機械学習の一種です。
例えば、「京都の有名な神社仏閣を教えてほしい」といった命令文（プロンプト）を入力すると、AIが学習データをもとに「京都の神社仏閣」に関するデータを抽出し、「清水寺」「北野天満宮」…など、命令文に応じた回答を生成します。
生成AIにできること
生成AIは主に以下の4つのコンテンツ生成を得意とします。
・テキスト
・画像
・動画
・音声
それぞれの活用事例を詳しく解説します。
テキスト生成
テキスト生成AIとはプロンプトをもとにテキストを生成する技術です。「ChatGPT」や「Bard」が代表例です。
文章はもちろん、ソースコードやエクセルの関数なども生成できます。
ビジネスの現場でも多くの場面で役立ちます。
・メールの作成
・長文の要約
・議事録作成
・校正・校閲
・キャッチコピーのアイデア出し など
画像生成
画像生成AIは、テキストをもとに画像を生成する技術のことです。
例えば画像生成AIに「白い雲の絵を描いて」と入力すると、白い雲が描かれた画像が出力されます。
Webサイトのレイアウトやロゴといったデザイン分野から、絵画やイラストなどのクリエイティブな分野まで、幅広いテイストの画像を作ることが可能です。
動画生成
動画生成AIはテキストや音声をもとに動画を生成する技術です。
生成AIのなかでも難易度の高い技術とされており、現状は尺の短い動画を生成できる範囲にとどまっています。
クオリティに関しても、「動きが不自然」「倫理的な観点から不適切な表現が見られる」など課題が見られます。
音声生成AI
音声生成AIは、音声やテキストをもとに新たな音声を生成する技術です。
例えば特定の人物の音声データを学習させると、本人に近い音声を再現してもらえます。本人の声を収録せずとも任意のナレーションを読み上げたり、音声を付加したりできます。
ビジネスの現場では、顧客対応や多言語対応（多言語化）のために多く活用されています。
生成AIの課題
生成AIは非常に便利なツールですが、ビジネスで活用するには未だ課題もあります。
ここでは生成AIを導入する前に押さえておきたい「リスク対策」について詳しく解説します。
真偽性をチェックする
生成AIで作られたテキストは、必ずしも事実に基づいているとは限りません。学習データから抽出する仕組みのため、情報の真偽までは判別できないのです。
事実確認をしないまま発信すると、虚偽の情報があった際に取引先や顧客からの信頼を失いかねません。
生成AIを使ったコンテンツを公開・発信する際は、事前に真偽性をチェックすることが大切です。
著作権の侵害に当たらないかをチェックする
画像生成AIや音声生成AIなどで生成したコンテンツを業務に利用すると、著作権法違反になるケースがあります。
例えば会社のイメージキャラクターを画像生成AIで作成したとします。それが既存のキャラクターに酷似してしまった場合、使用すると著作権侵害としてみなされるおそれがあるのです。
文化庁は生成AIの著作権侵害について、以下のように述べています。
《AIと著作権の基本的な考え方》
AIと著作権に関しては、「AI開発・学習段階」、「生成・利用段階」、「生成物が著作物となるか」等の段階を切り分けて検討することが必要です。
《AI開発・学習段階》
AI開発のための情報解析は、権利制限規定により、原則として許諾なく可能です。
ただし「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」等は原則通り許諾が必要です。
《生成・利用段階》
AIを利用して生成した場合でも、その利用が著作権侵害となるかは、人がAIを利用せず絵を描いた等の場合と同様に判断されます。侵害となる場合は、損害賠償請求や差止請求、刑事罰の対象となります。
既存の著作物と類似性がある生成物を利用する際は、著作権者の許諾を得て利用するか、全く異なる著作物となるよう、大幅に手を加えた上で利用することが考えられます。
《AI生成物が著作物となるか》
AIが自律的に生成したものは、著作物に該当しないと考えられますが、「創作意図」と「創作的寄与」があり、人が表現の道具としてAIを使用したと認められる場合は、著作物に該当すると考えられます。
引用：「令和5年度 著作権セミナー AIと著作権」（文化庁）
生成AIによって作り出されたコンテンツを使用する場合は、既存の著作物に類似していないか確認しておきましょう。
機密情報・個人情報の取り扱いに注意する
学習データに秘匿性の高い情報が含まれていると、AIが外部に流用させてしまうおそれがあります。
機密情報が流出すると顧客からの信頼を失う事態になりかねません。
安全に生成AIを活用するためにも、個人情報や機密情報は入力しないよう注意しましょう。あらかじめマスキング機能などを備えたツールを選ぶと安心です。
サイバー攻撃への対応
近年AI技術を活用したサイバー攻撃が増えており、従来よりも行動化・巧妙化しています。
その中にはAIの特性を利用したサイバー攻撃もあります。
▼AIを狙ったサイバー攻撃の例
・AIファジングの悪用
AIシステムの脆弱性を発見し、攻撃する
・機械学習ポイズニング
学習データに有害な情報を混入させてシステムに欠陥を与える
これまでのセキュリティ対策では不十分な可能性もあるため、生成AIを活用する際は常に最新のセキュリティ環境を整備しておくことが重要です。
まとめ
生成AIとは、テキスト・画像・動画・音声などあらゆるコンテンツを生成できる技術のことです。幅広いビジネスシーンに活用でき、業務効率化に役立ちます。
一方で、事実誤認や著作権侵害などのリスクも潜んでいるため、企業側は対策を講じる必要があります。
リスク対策に強い生成AIツールを活用するなら、エアスマAI（エアトリスマートAI）をご利用ください。文字起こしや要約、資料作成などのビジネスシーンに役立つ機能を搭載しています。
誰でも簡単に扱える仕様ですので、初めて生成AIツールを導入する企業様にもおすすめです。
マスキング機能や助手機能で、機密情報の流出を防げます。安全かつ手軽に生成AI系ツールを活用したい企業様は、ぜひご検討ください。
※この記事は、2023年11月時点での情報です。