業務プロセスを改善する4つのステップ|施策例と成功のポイント

業務プロセスを改善することは、業務効率化や従業員のモチベーションアップ、サービスレベルの向上につながります。しかし、どのように業務プロセスを改善すれば良いか、具体的な方法について悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、業務プロセスを改善する手順を4つのステップに分けて解説します。


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業務プロセスを改善する4つのステップ

ここでは業務プロセスを改善するための具体的な手順を紹介します。

業務を可視化する

多くの企業では、現状の業務フローが複雑化しており、どこに問題があるのか一目で把握することが難しい状態に陥っています。

そのため、まずは現状の業務プロセスを可視化しましょう。業務がどのように進行しているのか、誰がどの作業を担当しているのか、どの部分に時間やリソースが集中しているのかを把握することが重要です。

プロセスマップを作成したり、フローチャートを使ったりして業務の流れを視覚的に整理すれば、おのずと問題点や改善の余地が浮き彫りになります。

方針や目標を定める

業務プロセスにおける課題を把握できたら、次に改善の方針や目標を明確に設定します。このステップでは、単に「効率化」や「コスト削減」といった抽象的な目標ではなく、具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定することが重要です。

例えば、「データ処理にかかる時間を20%短縮する」や「品質不良を5%下げる」といった明確な数値目標を設定することで、プロジェクトの進捗状況を測定しやすくなります。

また、業務改善の際には、すべての問題に一度に取り組むのではなく、優先順位を付けることが大事です。緊急性やコストパフォーマンスなどを考慮して、最初に取り組むべき課題を明確にしましょう。

具体的な実行計画を策定し、実行する

目標を達成するための具体的な実行計画を立てます。まずはタスクを洗い出し、実行スケジュールを明確にして、必要なリソースや体制を整えましょう。

また、実行計画には「どのプロセスをどのように改善するのか」「誰が責任者となるのか」「どのようなツールを活用するのか」なども詳細に盛り込む必要があります。

効果測定をする

改善策を実行して終わりではなく、目標としていた成果が達成されたかどうかを評価することも大事です。効果測定の手法は、大きく分けて2つあります。定量的なデータを用いる方法と、従業員や顧客からのフィードバックを活用する定性的な方法です。

定量的な測定は、業務プロセスの時間短縮やコスト削減の成果を明確に示すために効果的です。定性的な測定では、従業員の作業環境の改善や顧客満足度の向上といった、数字では現れない効果を評価できます。

改善施策がうまくいかなかった場合には、その原因を特定して新たな策を練りましょう。改善施策が成功した場合でも、さらなる業務改善が見込めないかを検討してみてください。

業務プロセスを改善する施策例

ここでは業務プロセス改善に効果的な施策を5つピックアップして紹介します。自社の予算や目的に合った施策を検討してみてください。

RPAの導入

「RPA(Robotics Process Automation)」は、ロボットによって作業を自動化するシステムのことです。単純な作業をロボットで自動化することで、従業員がより付加価値の高い業務に集中できるようになります。

例えば、データ入力や処理、請求書の発行といった事務作業をRPAに任せることでヒューマンエラーを減らせます。作業そのものや、ミスが発生した際の対応に費やしていた時間を顧客対応などの業務に充てることが可能になります。労働力不足が課題としてあがっている企業は、RPAの導入を前向きに検討してみてください。

生成系AIを活用する

生成系AIは高度な自然言語処理能力を活用して、自動的に文章を作成したり、質問に答えたりできます。具体的には、メールや資料などの文章作成、データ解析、カスタマーサポート、デザインの作成など、さまざまな業務に応用可能です。

英語学習領域のコンテンツ開発において、英文および解説文の作成に生成系AIを活用したことで、業務量を大幅に削減した事例があります。

事業活動のオンライン化/ペーパーレス化

業務のデジタル化やペーパーレス化も業務プロセス改善の一環として有効です。例えば、会議の議事録や契約書の作成・管理といった業務をデジタル化し、クラウドで一括管理する方法があります。

クラウド上で書類の検索ができるため、「契約書をどこに片付けたか分からなくなった」といった事態を防ぐことが可能です。また、書類の紛失リスクも軽減でき、さらには印刷コストも削減できるなど、さまざまなメリットが得られます。

また、オンライン化によってテレワークの環境を整えることも可能です。リモートワークを促進することで、働き方改革や従業員のワークライフバランス改善を図ることができ、結果として企業全体の生産性向上にもつながります。

とはいえ、デジタル化を一気に進めるのは難しいため、まずは一部の部門や部署から少しずつ始めると良いでしょう。

業務の一部をアウトソーシングする

業務の一部をアウトソーシング(外注)することを、「BPO(Business Process Outsourcing)」と呼びます。社内のリソースが足りない場合や、将来的に安定した業務体制を構築したい場合などはBPOが有効です。

定型業務やルーチンワークを外部に委託することで、社内リソースをより戦略的な業務に集中させられます。具体例としては、コールセンター業務やデータ入力作業などが、BPOに適しているといえます。

また、専門的な知識やスキルが必要な業務を外部に委託するのも良いでしょう。

業務コンサルティングを活用する

どのように業務プロセスを改善したら良いか悩む場合や、社内に業務改善のノウハウがない場合は、業務コンサルタントに相談するのがおすすめです。業務プロセスの問題点を外部の視点から客観的に分析し、改善策を提案してもらうことで、自社だけでは気づかなかった課題を解決できるでしょう。

特に大規模な業務改善プロジェクトにおいては、専門的な知識や経験を持つコンサルタントを活用するのが有効です。コンサルタントは、他の企業での成功事例や最新の技術動向を踏まえ、自社の予算やリソースに沿ったサポートを提供してくれるため、改善の成功確率が高まります。

業務プロセスの改善を成功させるポイント

業務プロセス改善を成功に導くためには、単に技術やツールを導入するだけではなく、組織全体での意識改革と継続的な取組が必要です。下記で、業務プロセスの改善を成功させるポイントを3つ紹介します。

「なぜ業務プロセスを改善する必要があるのか」を社内に周知する

業務プロセスの改善において、従業員がその意義や目的を理解していない場合、プロジェクトがスムーズに進まないことがあります。従業員に十分な説明をしないまま、一方的に改善策を実行すれば不満につながることにもなります。

そのため、経営層やプロジェクトリーダーは、なぜ業務プロセスを改善する必要があるのか、その目的やメリットを分かりやすく説明し、社内全体での理解と協力を得ることが重要です。例えば、業務改善が企業の成長や競争力強化、働きやすい職場環境の実現につながることを具体的に伝えれば、従業員のモチベーションを高められるでしょう。

現場の担当者からフィードバックを得る

定期的に現場の担当者から、改善策の進捗や問題点などをヒアリングすることが不可欠です。実際に業務を担当している従業員が改善点や問題点をもっとも理解しています。現場の担当者の意見を反映させることで、実効性の高い改善策を導き出せるでしょう。

業務プロセスを変えたり、新たなツールを導入したりすると、現場の担当者は変化に慣れるまでにストレスを感じることもあります。現場の従業員や担当者の不満を吸い上げ、適切にフォローすることも忘れないようにしましょう。

定期的に業務プロセスを見直す

業務プロセス改善は一度きりで終わるのではなく、定期的に見直すことが必要です。ビジネス環境や市場の変化にともない、業務プロセスも変化し続けるため、現状の改善策が常に最適であるとは限りません。

そのため、定期的に業務プロセスのパフォーマンスを評価し、改善の余地がないかをチェックしましょう。PDCAサイクルを回し、アップデートしていくことが企業の成長につながります。

まとめ

業務プロセスの改善は、企業の競争力を高めるための重要な取組です。まず業務の可視化から始め、具体的な目標を設定し、計画的に改善を進めてみましょう。自動化できる業務が多いと感じる場合は、生成系AIの導入も検討してみてください。

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※この記事は、2024年10月時点の情報に基づいています。