【事例あり】バックオフィスの効率化を進める方法|5つのメリット・効果

企業におけるバックオフィスは、日々の業務運営を円滑に進めるために必要不可欠な部門です。バックオフィス業務を効率化できると、生産性の向上やコストの削減、属人化の解消につながります。しかし、具体的にどのように効率化すれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。 今回は、バックオフィスを効率化するメリットや効果に触れつつ、その進め方を3つのステップに分けて解説します。あわせて、実際に効率化を成功させた事例も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。


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バックオフィスを効率化するメリット・効果

「バックオフィス業務を効率化する」といっても、新たなツールを導入したり業務プロセスを変えたりするのは、多少なりとも手間やコストがかかるものです。しかし、そういったデメリットを超えるほどの魅力的なメリットがあります。

ここでは、バックオフィス業務を効率化するメリット・効果を5つピックアップして紹介します。

コストの削減

手作業で行われていた業務が自動化されることで、人件費を削減できます。例えば、給与計算や経費精算、社内申請の処理などの業務を自動化することで、従業員の作業時間を短縮でき、結果として労働時間の削減につながります。

また、書類のデジタル化により、書類の印刷費用や郵送コストも削減可能です。

ヒューマンエラーの防止

バックオフィス業務では、手作業でのデータ入力や書類作成が多く、ミスが発生しやすい傾向にあります。ヒューマンエラーが起きると、修正に時間を要するだけでなく、顧客対応や業務の進行に遅れが生じることもあります。

特に、会計や給与計算などの業務では、ミスが重大な結果につながる可能性が高いため、細心の注意が必要です。

業務効率化の一環として、自動化ツールやソフトウェアを導入すれば、データ入力や計算の精度が向上し、ヒューマンエラーを防げます。例えば、経費精算システムや会計ソフトを導入することでデータの自動入力が実現し、確認作業にかかる時間も大幅に短縮されます。

生産性の向上

バックオフィス業務の効率化は、企業全体の生産性を向上させる効果があります。例えば、自動化ツールを導入すれば、単調な作業やルーチンワークを削減でき、従業員がより価値の高い業務に集中できるようになります。

具体例として、経理部門での経費処理を自動化すると、担当者は月次決算や財務分析など重要度の高いタスクに多くの時間を割けるようになるでしょう。このように一部の業務をツールで代替することで、人間にしかできない高度な業務に人材を効果的に配置できるようになります。

属人化の解消

バックオフィス業務は、特定の担当者に依存することも少なくありません。特定の従業員が持っている知識やノウハウがほかのメンバーに共有されないと、休暇や退職時に業務が滞るリスクがあります。このような「属人化」は、業務の効率を下げる要因となり得ます。

効率化の過程で、業務フローを標準化したり、業務の可視化を進めたりすることで、属人化を防ぐことが可能です。

また、ツールを導入するのもひとつの方法です。従来の業務フローをツールに組み込むことで、担当者が代わっても作業を進められます。FAQとしてチャットボットに登録するのも有効です。業務のナレッジを共有すれば不明な点があってもすぐに解決でき、属人化を解消できるでしょう。

離職率の低下

バックオフィス業務の効率化は、従業員の働きやすさを向上させ、離職率の低下にもつながります。従業員が単調で時間のかかる業務に追われていると、ストレスが蓄積され、モチベーションが低下することもあります。

しかし、業務が効率化されれば、従業員の業務負担を軽減でき、ストレスの蓄積を防止できます。また、効率化によってリモートワークや柔軟な働き方が可能になれば、ワークライフバランスも実現できるでしょう。さらに、業務効率化によって業績が向上すれば、従業員の待遇面にも良い影響を与えます。

バックオフィスの効率化を進める方法

「バックオフィスの効率化を進める」といっても、見切り発車では失敗しかねません。まずは、バックオフィスの効率化を進める流れを押さえておきましょう。

ステップ1.課題を洗い出す

バックオフィスの効率化を進めるには、現在の業務フローを見直し、改善点を明確にすることが重要です。部署や業務ごとの課題を洗い出し、非効率な部分や時間を要している業務を特定しましょう。

その際、下記のように分類するのがポイントです。

・電子化可能なフロー
・自動化可能なフロー
・アウトソース可能なフロー

例えば、手動で行っているデータ入力作業がボトルネックになっている場合、「自動化可能なフロー」に分類するのが適切です。また、紙ベースの申請業務に問題がある場合は、「電子化可能なフロー」に分類します。

ステップ2.導入サービスを検討する

問題となっている業務を洗い出した後は、改善の優先順位を付けましょう。緊急性やコストパフォーマンスなどを考慮し、最初に取り組む課題を明らかにしてみてください。次に、課題に応じたサービスやツールを検討します。

例として、経費精算システムや人事管理システム、RPA(Robotic Process Automation)ツールなどがあげられます。

導入時は、自社の業務内容や予算に応じて最適なツールを選択しましょう。また、導入前には無料トライアルを利用し、実際の運用による効果や使いやすさを確認することも大切です。

ステップ3.実行/評価

サービスやツールを導入した後は、実際に運用を開始し、その効果を測定します。業務がどの程度効率化されたのか、コスト削減やヒューマンエラーの防止につながったかなどを定量的に評価することで、さらなる改善点が明らかになります。

評価は一度で完結せず、定期的に実施することが大切です。必要に応じて新たなツールの導入やプロセスの見直しも検討しましょう。また、従業員や利害関係者からのフィードバックを積極的に取り入れ、現場のニーズに即した効率化を推進することも重要です。

バックオフィスの効率化を実現した事例

バックオフィス業務をどのように効率化できるのか、イメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。ここでは、バックオフィス業務の効率化に成功した事例を4つピックアップして紹介します。

株式会社コロナ:申請業務のペーパーレス化

株式会社コロナは、2017年にワークフローシステムの「X-point Cloud」を導入し、総務や経理部門での申請業務のペーパーレス化を実現しました。従来、紙ベースで行われていた申請業務は、遅延や煩雑な管理が課題でした。

システム導入から約2年後には、申請書数は41種類、ユーザー数は約200名に到達、約50,000枚の帳票削減を達成し、バックオフィスの生産性向上に成功しています。

さらに、同社は「AgileWorks」を導入し、全社的なペーパーレス化を進展させました。現在、約1,600名が利用し、年間80,000枚の帳票削減を実現しています。

サッポロビール株式会社:RPAを導入

サッポロビール株式会社は、手作業で行っていたPOSデータの収集作業をRPAで自動化しました。以前は1企業あたり20~30分かかるデータ収集を、毎日十数社分実施していました。

RPA導入により、平日朝8時に自動でPCが起動し、午後にはすべてのデータを取得できるようになり、作業効率アップに成功します。全商品のPOSデータが日々自動で取得できることで、工数削減とともに業務の安定性も確保しました。

ドリコ株式会社:ワークフローシステムの導入

ドリコ株式会社は、コロナ禍を機にワークフローシステムの「X-point Cloud」を導入し、申請業務のデジタル化を進めました。従来の紙の帳票による業務は非効率であるほか、従業員の高齢化による技術承継も課題でした。

システム導入により、約70種類存在していた紙の帳票を「X-point Cloud」でデジタル化することで、在宅勤務対応や業務効率化に成功します。押印や書類回付の手間を削減し、X-point Cloudを課題であった技術や知識継承のプラットフォームとして活用しています。

株式会社LIXIL:チャットボットを導入

約60,000人の従業員を擁する「LIXIL」は、社内のITヘルプデスクに月1700件以上の問い合わせが集中します。この社内の問い合わせ対応の効率化を図るため、ユーザーローカルのサポートチャットボットを導入しました。チャットボット導入により、PC関連の質問などを自動で処理できるようになり、生産性向上に成功します。

また、自動応答システムを導入することで、顧客の問い合わせに24時間365日対応できるようになりました。電話応対後の後処理が不要となり、工数削減につながりました。

まとめ

バックオフィス業務の効率化は、企業全体の生産性向上に直結します。コスト削減やヒューマンエラーの防止、従業員の負担軽減による離職率低下など、多くのメリットが期待できます。

また、自動化できる業務が多いと感じる場合は、生成系AIの導入も視野に入れてみると良いでしょう。生成系AIを導入することで、メールや資料の自動作成が可能となり、バックオフィスのさらなる効率化につながります。

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※この記事は、2024年10月時点の情報に基づいています。