採用活動でAIを活用!最新の事例や導入方法、ポイントを解説

採用活動におけるAIの導入は、業務の効率化や公平性の向上など多くのメリットが期待できます。AIによるデータ分析やマッチング精度の向上などを通じて、従来の採用手法では難しかった課題の解決も期待できるでしょう。 今回は、AIを活用した採用活動の最新事例や導入ポイントを解説し、効率的かつ効果的な人材採用の実現方法を探ります。


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AIを活用した採用活動の最新動向

現在、AI技術の進化により、採用活動にも大きな変革が起きています。まずは、具体的な事例とともに、最新動向を紹介します。

募集段階における活用

採用活動の最初の段階である募集には、従来2つの方法が用いられてきました。1つは人材プールからスカウトを行う「ダイレクトリクルーティング」、もう1つは自社で人材プールを形成する「採用マーケティング」です。

しかし、これらの方法では人材要件に合致した候補者をいかに探し出すかが課題でした。

AIを活用した求人媒体では、マッチ度の高い候補者を自動で選別する機能が搭載されています。例えば、マッチ度の高い求職者に適切な広告を表示したり、スカウトメール文を生成したりすることで、効率的に母集団形成を支援することが可能です。

すでに「マイナビバイト」「Indeed」「Offer Box」などではAIが導入されており、企業が無意識のうちに利用しているケースもあります。

書類選考における活用

従来の書類選考では、多数の履歴書や職務経歴書に目を通す必要があり、担当者の大きな負担となっていました。また、選考基準が明確でない場合、属人的な判断に頼らざるを得ないことも課題とされていました。

AIを活用することで、このプロセスが効率化されます。サッポロホールディングス株式会社では、新卒採用のエントリーシート選考にAIを導入し、担当者が選考にかける時間を大幅に削減した事例があります。

同社ではAIによる選考結果を人事担当者が再確認し、合否を判断する仕組みを導入しました。AIの導入では、ダブルチェックによって精度や質を保つ工夫も重要です。

面接段階における活用

オンライン面接が一般化した今でも、面接官の負担や評価のばらつきが課題として残っています。こうした中、AIを活用してオンライン面接を支援するツールが導入されるケースが増えています。

例えば、株式会社一蘭では、アルバイト採用にAI面接サービスを導入しました。同社では店舗ごとの採用活動が行われており、面接や研修の時間が不足することが課題でした。しかし、AI面接サービスを利用することで、現場社員の負担を軽減し、応募者との面接機会を確保することができたとされています。

AIを採用活動に導入する方法

AIを採用活動に導入することで、効率化や精度向上を図ることができます。具体的な導入方法は下記の通りです。

・AIソーシング
AIが候補者のスキルや経験に基づき、最適な人材を検索します。採用担当者が手動で行う検索作業を大幅に軽減できます。

・AIチャットボット
候補者からの問い合わせ対応を自動化します。24時間対応が可能なため、迅速なコミュニケーションを実現します。

・AIスケジューリング
採用プロセス全体のスケジュールを自動管理します。面接日程の調整やリマインダーの送信がスムーズになります。

・AI面接
AIを活用して面接を実施する方法です。候補者の表情や音声を分析するツールを用い、適性を評価することができます。

・AI認知・性格テスト
入社前評価としてAIを用い、候補者のスキルや適性を客観的に判断します。業務効率化だけでなく、選考の公平性を高めることにもつながります。

AIを活用した採用活動のメリット・デメリット

採用活動におけるAI導入の効果を最大限に引き出すためには、メリットとデメリットの両方を正しく理解することが重要です。

ここでは、AIを採用活動で活用する際の利点と課題を詳しく解説します。

メリット|公平性のある採用活動を実現できる

AIは、人間の主観や感情を排除して、事前に設定した基準に基づいた判断を行います。このため、採用プロセス全体の公平性を保つことが可能です。

さらに、AIを活用することで作業効率が向上します。例えば、履歴書や職務経歴書の選別作業が短時間で行えるため、採用担当者の負担を大幅に軽減します。加えて、AIは24時間365日稼働できるため、応募者との迅速なコミュニケーションが可能です。

また、AIに業務の一部を任せることで、人件費を削減することができます。時間やコストを削減しつつ、精度の高い採用活動を実現できる点は大きな魅力です。

デメリット|柔軟な対応はできない

AIはビッグデータを基に最適な結論を導き出しますが、そのデータが不足している場合、正確な判断が難しくなることがあります。また、AIは設定された基準外の柔軟な対応が苦手です。

例えば、評価基準を画一化しすぎると、採用する人材の傾向が偏り、多様性が損なわれる可能性があります。また、事前に設定されていない質問や想定外のケースに対して、適切に対応できないことも課題です。

AIを活用する際には、このような制約を理解しつつ、人間とAIを上手く組み合わせて活用することが求められます。

AIを活用した採用活動のポイント

採用活動にAIを導入するメリット・デメリットを踏まえ、ここでは、実際に活用する際のポイントを詳しく解説します。

AIの得意分野を活かした活用方法を考える

AIには得意な作業と不得意な作業が存在します。AIの特性を理解し、適切なタイミングや作業で活用することが、効果的な採用活動の鍵となります。

得意な作業と苦手な作業と、任せられる作業例については、下記の通りです。

AIの得意な作業

AIは大量のデータを迅速かつ正確に処理するのが得意です。例えば、下記のような作業があげられます。

・候補者のスキルや経験を分析して最適な人材をスクリーニングする
・応募者とのコミュニケーションを自動化するチャットボットの運用
・面接日程の調整や選考進捗の管理

AIの苦手な作業

一方で、AIは柔軟な対応やクリエイティブな判断を要する作業が苦手です。例えば、候補者のポテンシャルを見極めるような直感的な評価や、基準外の質問に対する対応は難しい場合があります。また、データが不足している場合には正確な判断を下せないこともあります。

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あくまで採用活動のサポートツールとして運用する

AIを導入する際には、その役割を明確に区分することが重要です。AIは採用活動のサポートツールとして位置付け、人間の判断を補完する形で運用するのが理想的です。

具体的には、AIにはデータ処理や分析など定型的な業務を任せ、最終的な判断は人間が行うようにすると良いでしょう。これにより、効率性と人間的な判断力の両立が可能になります。

公平性や透明性を考慮する

AIのアルゴリズムは過去のデータを学習して動作しますが、この特性が原因で不公平な判断を生むリスクがあります。例えば、偏ったデータに基づいて学習したアルゴリズムは、特定の属性を持つ候補者に不利な結果をもたらす可能性があります。

そのため、AIに指示・提供するデータ(判断基準や応募者データなど)に偏りがないかを確認し、人間が判断すべき範囲・責任者も明確化しておきましょう。このようなプロセスを通して、公平性・透明性を確保することが大切です。

まとめ

AIの導入は採用活動の効率化や公平性向上に大きく寄与します。ただし、実際に活用する際には、その特性を理解し適切に活用することが重要です。AIが得意とするデータ処理やスケジュール管理は作業負担を軽減しますが、柔軟な対応や創造的な判断は人間の役割として不可欠です。

また導入に際しては、透明性や公平性を意識した仕組みの構築を通じて、人材採用の質と効率を向上させる工夫を行いましょう。

※この記事は、2024年12月時点での情報です。