情報収集に特化した生成系AIツール4選
現代のビジネス環境では、迅速かつ正確な情報収集が求められます。AIツールを活用することで、膨大なデータから必要な情報を効率良く抽出することが可能です。
ここでは、情報収集に特化したAIツールを4つ紹介し、それぞれの特徴と活用時のポイントを解説します。
ChatGPT
ChatGPTは、OpenAIが提供する自然言語処理に基づいた生成系AIツールです。主に対話形式で質問に答え、ユーザーのニーズに応じた情報を提供します。
特徴的なのは、会話の履歴を参考にして回答を出力する点です。対話を重ねるほど回答の精度が高まり、ユーザーが求める情報を得やすくなります。
複数のサイトから最新情報を収集する能力もあり、幅広い知識を提供してくれるのが大きな強みです。
また、ChatGPTは難解な文章を要約するのが得意で、複雑な情報も分かりやすく伝えるため、時間をかけずに概要を理解したい場合にも便利です。
▼主な特徴・メリット
・難解な内容でも簡潔に要約できる。
Gemini(旧Bard)
Geminiは、Googleが2023年12月に発表した生成系AIツールです。
このツールの特徴は、Googleの各サービスとシームレスに連携できる点です。例えば、Google WorkspaceやGoogle Map、YouTubeなどのサービスと統合されており、関連する資料や動画、地図情報などを簡単に確認することができます。
また、Googleのインターフェースに慣れているユーザーにとっては、操作性が直感的で使いやすい点も魅力です。
▼主な特徴・メリット
・知りたい情報を関連するコンテンツとともに素早く取得できる。
Perplexity
Perplexityは、質問応答に特化した生成系AI検索エンジンです。最新情報を迅速に収集し、関連するリンクや情報とともに表示してくれます。
このツールの特徴は、質問に対してその答えだけでなく、次にされる可能性のある質問や関連情報も提示してくれる点です。続けて何を調べるべきかのヒントを得られます。
また、情報をまとめて提示する能力が高く、特定の質問に対して複数の視点を提供することも便利なポイントです。
▼主な特徴・メリット
・最新情報をまとめて提供するため、時事問題にも強い。
Genspark
Gensparkは、MicrosoftやGoogleの元社員によって立ち上げられたAI駆動の検索エンジンで、ユーザーが入力した検索ワードを元にリアルタイムでカスタムページを生成します。
ユーザーは複数のWebページを巡ることなく、必要な情報を1ページで簡潔に得ることが可能です。
特定のテーマや詳細な情報をまとめて提供することに優れており、情報収集の時間を大幅に節約できます。
▼主な特徴・メリット
・リアルタイムでカスタムページを生成し、必要な情報を一度に取得できる。
AIツールで情報収集する際の活用ポイント
AIツールを効果的に使いこなすためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。ここでは、AIツールを使って情報収集を効率化するためのコツを解説します。
プロンプト作成のスキルを高める
AIに指示を出す際、プロンプト(命令文)の作成が鍵となります。適切なプロンプトを与えることで、AIが意図通りの高品質なアウトプットを生成し、情報収集を効率化できます。
具体的なプロンプト作成のコツは下記の通りです。
・最初に明確な指示を出す
例えば、「このテーマについて、最新の情報を調べてください」と最初に指示を与えると、AIはその後の質問や答えを正しく理解し、効率的に結果を導きます。
・出力形式や条件を明示する
例えば、「箇条書きで3つのポイントを挙げてください」や「数字を使って具体的な例を出してください」といった指示をすると、AIが指定通りにアウトプットを整理してくれます。
・形容表現ではなく数字で指示を出す
例えば、「売上が3割増加した理由」を尋ねるよりも、「過去3年間で売上がどれだけ増加したか」を尋ねる方が、AIは具体的なデータをもとに答えやすくなります。
なお、プロンプトの基本から知りたいという方は、下記の記事をご覧ください。
「ChatGPTのプロンプトとは?作成のコツについて紹介!」
リアルタイム検索を活用する
ChatGPTでは、2024年10月31日に新たな検索機能(ChatGPT Search)が追加され、リアルタイムのデータにもとづいた回答を得られるようになりました (※)。 出典を提示させることもできるため、ファクトチェックも容易になっています。
今後、最新データを含む情報検索は、生成系AIのスタンダードになっていくと思われます。営業やマーケティング部門の仕事は大いに助けられることでしょう。
ただし、誰もが高性能なAIツールを使える状況になれば、過度に依存することはリスクにもなります。ダブルチェックなどの仕組みづくりで情報をかぎ分け、業務の精度を保つ工夫が重要です。
※発表当時は有料プラン限定の機能でしたが、2024年12月16日からは全ユーザーに提供が開始されました。
AIツールを活用して情報収集する際の注意点
AIツールは便利ですが、必ずしもすべての企業が効果を実感できるわけではありません。ここでは、AIツールを導入・活用する際に気を付けるべき課題について解説します。
関連記事:
「生成系AIのデメリットや問題点を解説!ビジネスで活用するには?」
「AIリスクに企業が講じるべき対策とは|生成系AIの利用・開発上のリスクを解説」
ハルシネーション(誤情報の生成)
ハルシネーションとは、AIが事実に基づかない誤った情報を生成してしまう現象を指します。AIはインターネットなどから集めた膨大なデータで学習していますが、その中には誤った情報が含まれていることがあります。
AIは与えられた単語に対して、次に続く確率が高い単語を予測して出力しますが、必ず正しい情報を提供するわけではありません。
誤った情報が出力されると、企業にとっては信頼性の低下を招くリスクがあります。特に顧客や競合に関する重要な情報をもとに意思決定を行う場合、AIが生成する誤情報に頼ってしまうと、間違った戦略を取ることになりかねません。
ハルシネーションを避けるためには、AIが提供する情報を鵜呑みにせず、必ず複数の信頼できる情報源と照らし合わせて確認することが大切です。
プロセスのブラックボックス化
AIの処理プロセスは非常に複雑であり、外部からはその内部構造が見えません。これは「ブラックボックス」と呼ばれる現象です。
AIがどのようなプロセスを経て結果を導き出したのかを理解することは、一般的に非常に困難です。この点が、AIツールを活用する際の大きな課題となります。
最終的な意思決定を下す際には、出力された情報をそのまま信じるのではなく、慎重に確認しながら判断する必要があります。
情報漏洩リスク
AIに社内の機密情報を学習させた場合、それが外部へ流出するリスクも0ではありません。AIは学習データとして入力された情報を活用するため、入力した情報が他の場所で利用されることが考えられます。
情報漏洩を防ぐためには、機密性の高い情報をAIに提供しない、もしくは信頼性のあるセキュリティ対策が講じられているツールを選定することが重要です。
なお、ChatGPTにおける情報漏洩のリスクについては、下記の記事で詳しく解説しています。
「ChatGPTには情報漏洩のリスクがある?事例や対策を解説」
まとめ
AIツールを活用した情報収集は、効率化や時間短縮に大きな効果をもたらしますが、誤情報の生成やブラックボックス化、情報漏洩リスクなどの課題も存在します。
これらを理解し、適切なプロセスを踏んで活用すれば、より精度の高い情報収集が可能になります。信頼性の高い情報を得るために、AIツールを賢く使いこなし、ビジネスの成果を最大化しましょう。
※この記事は、2024年12月時点での情報に基づいています。