経理業務にAIを活用する方法!代替できる・できない業務は?

AIは大量なデータの処理やルールに基づいた作業が得意なため、経理業務の一部を代替することが可能です。企業の経理部門にAIを導入する際は代替できる業務とできない業務を確認して効果的に活用しましょう。 今回は経理業務にAIを活用する方法やメリット・デメリット、活用事例について詳しく解説します。


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AIが代替できる・代替できない経理業務は?

経理業務のうちAIが代替できるもの・できないものを紹介します。

代替できる経理業務

AIは下記の経理業務を代替できる可能性があります。

・仕訳業務
・税務申告
・決算書の作成
・問い合わせ対応

主に代替が可能なのは

・定型化されている業務
・大量のデータを取り扱う業務

などのデータを収集してフォーマットに出力するような業務です。

業務フローが明確な業務はRPAなどでも自動化が可能ですが、イレギュラーな内容には対応できません。

一方AIは機械学習が可能なため、イレギュラー案件の処理や問い合わせ内容に応じた対応もできる可能性があります。

関連記事:「RPAとAIの違いとは?組み合わせるメリットと活用事例3選

代替できない経理業務

AIは状況に応じた判断や予測、提案が可能です。できることは幅広く、導入によって業務効率化を実現している企業は多くあります。

しかし少ないデータによる推論や非合理的な判断などは苦手分野のため、必要なデータをすべて学習させない限り下記のような経理業務は代替が難しいでしょう。

・資金繰り
・予算差異分析
・財務戦略に関する提案

それぞれ詳しく解説します。

関連記事:「AIにできないこととは?得意分野・苦手分野とビジネスでの活用事例!

資金繰り

資金繰りでは景気変動を見越して早めに多額の借り入れをしておくなどの臨機応変な判断が必要になる場面があります。このような思考が必要な業務はAIで代替できません。

また資金繰りを改善するための遊休資産の資金化や業務フローの見直しといった施策立案も、自社の収支データだけでは推測が難しいでしょう。

資金繰りの表の作成にAIを活用し、詳しい分析や施策立案は人間が担当するなどの使い分けが必要です。

予算差異分析

予算差異分析では市場の変化や景気の動向などを踏まえて原因や経営課題を特定する必要があり、AIは代替できません。

AIを活用して正確に差異を算出することは可能です。しかし経営状況の変化にはあらゆる内的・外的要因があるためそのすべてを特定するのは難しいといえます。

財務戦略に関する提案

経理部門は事業計画の提案など財務戦略に関する業務を行うこともあります。この際、経済環境や経営方針を考慮しながらビジョンを実現するための施策を考えることが必要です。

AIは会計データの分析結果から提案することは可能でしょう。しかし実際の施策立案では幅広い要素を加味しなければならず、AIで代替することはできません。

経理業務にAIを導入するメリット

経理業務にAIを導入するメリットは下記の通りです。

・業務効率化により担当者の負担を軽減できる
・ヒューマンエラーを防止できる
・リソースを確保できる
・ペーパーレス化につながる

AIの導入によって定型化された作業や大量のデータ処理が自動化でき、作業負担が軽減されます。

人為的なミスを防止できるのも大きなメリットです。二重チェックや修正などの作業が省けるためリソースの確保につながります。

また経理部門では紙をベースとした経費精算や取引をするケースが多くありますが、AIの導入によりペーパーレス化が大きく進むことも大きなメリットです。

経理業務にAIを導入するデメリット・課題

経理業務にAIを導入するデメリットと課題は下記の通りです。

・担当者のAIリテラシーが低いとシステムを使いこなせない
・社内データを活用するにはエンジニアリングのスキルが求められる
・情報漏洩のリスクがある
・導入時にコストや時間がかかる

AIを経理業務に役立てるには、経理担当者がAIに関する基礎知識を身に付けて適切に活用する必要があります。導入の際は社員のリテラシーに応じて教育したり社内ガイドラインを作成したりしなければなりません。

また社内ツールにAIを組み込む場合は設計や実装に伴うエンジニアリングのスキルが求められます。社内にエンジニアがいない企業は外注や人材の確保も必要です。

生成系AIを活用する際は情報漏洩のリスクに注意しましょう。通常の利用方法を守っていれば情報が漏洩することはありませんが、セキュリティ対策は重要です。

そしてAIツールを導入するにはコストや時間がかかります。特に自社で開発する場合は自由にカスタマイズできる一方で莫大なコストを要します。既存のAIツールの導入も前向きに検討しましょう。

※関連記事:「ChatGPTには情報漏洩のリスクがある?事例や対策を解説

経理業務におけるAIの活用事例

経理業務でAIを実際に活用した事例を3つ紹介します。

【AI-OCR】領収書・請求書の自動データ化

AI-OCRとはAIを搭載したOCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)のことです。

OCRは手書きの文字を読み取ってテキストデータに変換する技術ですが、崩れた文字は認識できないデメリットがありました。

AI-OCRは手書きの癖を学習して正しい文字を推測するため識字率が高く、経理部門の業務効率化に大きく貢献します。

ある企業ではAI-OCRとRPAを組み合わせて領収書・請求書のデータ化からシステム入力までを自動化しました。

入力作業にかかる工数を削減でき、大幅な業務効率化につながったとのことです。

【経理専門AIツール】経費精算

経費をこれまで申請者が手動で入力し提出していた企業では、各申請の精査・承認に手間がかかっていました。

経理専門AIツールを導入したことで経費精算のプロセスが自動化でき、企業全体の生産性向上につながったそうです。

具体的には下記のような技術を活用しました。

・ICカードなどの移動情報、領収書やレシート、クレジットカードを自動で読み取りデータ化
・申請内容の不備・不正のチェック
・利用実態に応じて自動承認

これにより申請者・上長(承認者)・経理担当者の経費精算に関する業務が自動化され、大幅な工数削減を実現しました。

【AIチャットボット】問い合わせ対応

AIチャットボットを導入して経理部門の問い合わせ対応を効率化しました。

ある企業では経費精算や勘定科目などの問い合わせ対応に追われ、締め日直前になると残業が発生していたそうです。

そこでFAQを作成するだけで利用できるAIチャットボットを活用して、早期対応と大幅な工数削減を実現しました。

AIチャットボットの精度を高めるためにはあらゆる質問と回答を学習させる必要があります。経理部門で社内利用を促進し、機械学習を進めていく方針とのことです。

これからの経理担当者に求められること

AI化の浸透やAI技術の発展により、今後経理業務の量は減少していく見通しです。AIリテラシーを高めることも重要ですが、求められることはそれだけではありません。

定型化された作業やデータ処理などの業務がなくなることを前提として、これからは「戦略経理」という役割にシフトしていく必要があります。

戦略経理とは数字を根拠として経営判断のサポートを行う立場のことです。これは経理部門本来の役割ともいえます。

AIのデータ処理の力を味方にできるこれからの時代は、経理担当者にとって大きな転機になるはずです。

経理担当者として今後10年、20年を生き抜くためにも、AIに関する知識やスキルだけでなく経営的な視点も身に付けていきましょう。

まとめ

経理部門にAIを導入することで業務負担を軽減できます。AIが代替できる業務とできない業務を理解し、適切な導入・運用方法を決定しましょう。

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※この記事は、2024年8月時点の情報です。